先天性心疾患のこれまでと次の10年
先天性心疾患の次の10年について、AHA circulationの論文(2016年)をよみました。 Boston Children’s Hospitalの論文です。
Trends in Congenital Heart Disease The Next Decade
Circulation. 2016;133:2716–2733
全体像としてまとめてみます。
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これまでの発展
1953年に初めて心肺バイパスを使用した先天性心臓欠損の修復を行ってから60年だそうです。まったく助けることができなかったところから、助けるための医療技術が発展してきました。
様々な手術法や、状態を観測するためのイメージング技術、移植、不整脈の治療、心臓カテーテル技術、集中治療管理技術などです。
多くの人の力でこの進歩が実現し、多数の人が成人し生活できるようになったのだと思います。
これからの10年
これからの10年で注目する進化は、
- 新しい技術として再生医療、遺伝情報利用
- データの集積と活用による発展の促進
- 子供から終末期までの生涯にわたるケアを個人個人に合わせて設計していく技術
- 神経発達の問題や、手術の傷などによる心筋症、肝臓をはじめとする他の内臓の影響、メンタルヘルスなどの現在起こっている問題の解決
- 患者同士のつながりによる新しいケアの実現
- 最新医療が世界中で受けられるようになること
などが期待されているそうです。
様々な新技術の実現もさることながら、これまでよりも全体的包括的に医療を設計し、問題が起こってから対応するのではなく、予防をして、問題が起こらないようにするというのがポイントです。
感想
究極的には再生医療によって、心臓などを入れ替えることで、すべての問題が解決するのが夢だと思います。
それ以外では、個人個人にとって、最適な治療や、生活、運動などのプランを作成し、健康やよい生活を維持できる方法が確立してくれればうれしいです。