TCPCフォンタン実施後の傾向(福岡こども病院)

European Journal of Cardio-Thoracic Surgeryに福岡こども病院のTCPCフォンタン実施後500人の状態についての論文がありました。2015年の発表です。

 TCPCの初期から中期の結果を評価することを目的とした論文です。

 

論文

Toshihide Nakano 他

Results of extracardiac conduit total cavopulmonary connection in 500 patients

European Journal of Cardio-Thoracic Surgery,

 Volume 48, Issue 6, December 2015, Pages 825–832

 

リンク

https://academic.oup.com/ejcts/article/48/6/825/2465055

 

まとめ

この論文は、1994年3月から2014年3月までの間に、福岡こども病院でTCPCフォンタンを受けた500人の患者の分析報告です。

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生存率

 

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問題の発生数(1)

 

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問題の発生数(2)

 

そのほかの情報

福岡こども病院では、1990年代半ば以降、EC-TCPC法を使っているそうです。

また、術後のカテーテル検査を

  • フォンタン完了の6か月後
  • 6歳(小学校に入る前)
  • 12歳(中学校に入る前)
  • 18歳(成人の先天性チームに編入する前)

に実施する原則(実施判断は専門医)にしているそうです。

 

そして、以下について重要視しているようです。

  • 生涯にわたる綿密な投薬設計
  • 定期的な心臓カテーテル
  • 血漿BNPレベルの定期的な測定
  • 毎日の運動(骨格筋収縮が心拍出量の増加に重要な役割を果たす)
  • 脱水や肥満を避けるための生活習慣の指導

感想

術後およそ15年と若い人が多いので、長期的な問題の発生は少なめの印象です。それでも、肝臓異常の兆候を示している人が多いのが気になりました。