先天性心疾患患者の(運動中の)突然死の可能性
先天性心疾患患者の運動は、多くのところで勧められています。しかし、そのリスクがないのかが気になり調べています。
European heart journal 2016にノルウェーでの突然死リスクについての調査と、エディトリアルコメントがありました。
特に運動との関連についてまとめてみます。
論文情報
Sudden unexpected death in children with congenital heart defects
Jarle Jortveit 他
European Heart Journal, Volume 37, Issue 7, 14 February 2016, Pages 621–626
リンク
まとめ
この論文の特徴
この論文以前には、先天性心疾患の子供での突然死に関する研究はほとんどなかったと書かれています。
結果
1994年から2009年にノルウェーで生まれた子供のうち先天性心疾患は1万1272人で、そのなかで突然死したひとは19人でした。この間、運動中に突然死した人はいませんでしたが、運動中に心停止して救命された人は2名いました。
結論として、運動中の心停止リスクは低いとしています。
ただし、これは子供が対象の研究なので、成人とは結果が異なる可能性があるとしています。
他の研究では、
成人先天性心疾患の「運動中の突然死」の全死因に対する割合は約1.5%との報告があるそうです。
定期的な運動の利点
- 全体として、一般的に長期的なメリットが優勢
- 年齢調整死亡率が最大70〜80%減少
突然死のリスク要因
突然死のリスクが高い患者を特定することは現時点ではできないとしています。
感想
運動中の突然死のリスクは低めであることがわかりました。しかし、突然死はしなくても、小さな悪影響が繰り返し起こることで、長期的に重大な影響になることがないのかが気になります。(分析が難しそうです)
積極的に運動することを勧めるのが現時点での流れで、運動のリスクは低いとされていると思います。実際、運動リスクについての報告は少ないのですが、これも知る必要があります。
引き続き調べたいと思っています。
情報
欧州心臓病学会発行の、心臓医学の査読付き医学ジャーナルです。1980年2月から発行されています。
インパクトファクタは24.889です。