フォンタンの不整脈 「フォンタン アメリカ心臓協会AHAの科学的声明」を読む その4

 フォンタン患者の長期リスクについて、調べています。ここでは、不整脈のリスクについてまとめます。

2019年7月にアメリカ心臓協会(AHA)から「フォンタン循環の子供と大人の評価と管理」という文書が発行されています。

長い文書で内容が多岐にわたっていますので、少しずつ理解したことをまとめています。その4回目です。

 

文書

Evaluation and Management of the Child and Adult With Fontan Circulation: A Scientific Statement From the American Heart Association

 

リンク

https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/CIR.0000000000000696

  

まとめ

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フォンタンと不整脈 リスクと治療

 

表 フォンタン患者の不整脈の割合[%]

不整脈 APC 側方トンネル法
TCPC-LT
心外導管法
TCPC-EC
洞結節機能不全 30–62 18–44 15–44
上室性頻拍 60–80 7–33 5–15
ペースメーカー 11–23 5–55 3–27

 

最近の手術では頻脈が改善されている

心房頻拍はフォンタン後の患者の50%以上で発生(今後減る可能性はある)

ペースメーカは心拍出量に悪影響を及ぼし、生活の質を低下させる可能性あり

術後心房頻拍が発生するまでは9〜14年(中央値)

 

フォンタン患者は心拍反応が悪い 

 フォンタン患者の62%で反応障害

 

心房頻拍の治療

徐脈についてはデータなどの記述があまりありません。

 

感想

 術式によって、また同じ術式でも論文ごとに、状況がかなり異なっています。

 心外導管法を受けた人は年齢が若めなので、今後、継続的調査が必要かもしれません。

 不整脈は、なんとなく、患者の生活の工夫などで改善するのは難しいような気がしていましたが、運動によって、改善の可能性があるかもしれないということなので、期待したいです。