フォンタンの検査・診療戦略「フォンタン アメリカ心臓協会AHAの科学的声明」を読む その7

フォンタン患者の長期リスクについて、調べています。ここでは、検査・診療戦略についてまとめます。

2019年7月にアメリカ心臓協会(AHA)から「フォンタン循環の子供と大人の評価と管理」という文書が発行されています。

長い文書で内容が多岐にわたっていますので、少しずつ理解したことをまとめています。その7回目です。

 

文書

Evaluation and Management of the Child and Adult With Fontan Circulation: A Scientific Statement From the American Heart Association

 

リンク

https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/CIR.0000000000000696

  

まとめ

 

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検査の種類と実施頻度
  • BNPは、心臓を守るため心臓(特に心室)から分泌されるホルモンで心不全の検査に使います
  • 運動負荷テストは幼児の場合には、6分の歩行とする場合がある

 

全体として

  • 良好なフォンタン患者には、定期的に心血管および内臓の健康を体系的に評価するテストを実施するのが良い
  •  体調不良の患者には、その人にあわせてテストする
  •  現時点では、行うテスト内容や間隔を決める証拠が不足しているが、テストはするべき
  • 検査は、フォンタンに精通し、経験があり、結果の解釈に慣れている医療提供者が提供する必要がある
  •  最適な監視テストの内容とテスト頻度は、

     小児期から思春期を経て成人期に移行するとき、
     臓器系の合併症が出現するとき、
     機能障害の進行速度が変化するとき

    に変わる

  •  さらに研究が進み、今後数年にわたって実践パターンが変化すると予想される

感想

アメリカの事例なので、日本と事情が違っている点にご注意ください。

例えば、日本で薬を処方されている場合には、定期的に受診していると思うので、受診間隔が6か月というのは長すぎると思います。

また、個人の状態に応じて検査を決めることが強調されています。

 

幼児でも運動負荷テストを実施することを想定しているようです。

本人がきちんと動いてくれない場合が多いので、実施は難しいなと思っていました。

また、身長が足りないということで、計測機器が使えない場合もあります。

しかし、何かうまい方法があるのかもしれません。

 

通院が習慣化していることについては、検査の日程の予想がつきますが、心臓カテーテルや、MRIなど、間隔が長いものについては、わからない場合があります。

長期的な検査計画についても、把握しておく必要があると思いました。

コロナで、遠隔での処方箋発行をしている場合など、受診間隔、検査間隔が広がっている場合があると思います。このときにも、遅くとも次に検査をすべき日を予想できるということも必要だと思っています。(この文書からは、半年に1度はやったほうが良いということかと思います)