フォンタンの循環を改善する薬の研究 (臨床試験の論文)

アメリカ心臓協会の「2019年の研究の進歩」に載っていた、フォンタンの運動を改善する薬の論文を読んでみました。ウデナフィルという薬の効果についての論文です。

論文情報

Results of the FUEL (Fontan Udenafil Exercise Longitudinal)Trial

David J. Goldberg他著

Circulation Vol 141, Issue 8    February 25, 2020

 

リンク

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.044352

まとめ

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フォンタンの循環を改善する薬の研究

 

ウデナフィルとは韓国の製薬会社が開発した勃起不全、前立腺肥大症治療薬です。

 

安静時

  • 酸素飽和度 少し増加
  • 下の血圧 少し減少
  • 心拍数、呼吸数、収縮期血圧は違いなし

最大運動時

  • 換気効率が改善
  • 有酸素・無酸素運動閾値のときの酸素摂取量が改善
  • VO2Max 改善はしているが、統計的に差があるレベルではなかった

その他

  • 心筋機能にわずかな改善

 被験者

  • フォンタン400人を200人ずつに分け、片方の群がウデナフィルを飲む
  • 平均15.5歳

 

この研究は、フォンタンの青年期の運動にプラスの効果を実証した最初の大規模な第III相臨床試験

今後の継続的な研究が必要

感想

アメリカ心臓協会の「2019年の心臓研究の進歩」レポートでは、「運動能力にいくらかの改善」と書かれていましたが、運動時だけではなく、常時、循環の改善を狙ったもののように見えました。

他の目的で実用化されている薬をフォンタン患者に使って効果を狙っている研究ということで、コロナ薬の研究と同じ構造ですね。

薬ということで、副作用が気になります。

まだまだ今後の研究が必要とのことですが、成長し手術から時間がたっても、よい循環が保たれる薬や治療法が早くできて欲しいです。