先天性心疾患とコロナウイルス ニューヨークの分析
先天性心疾患患者のコロナウイルスリスクが気になります。アメリカニューヨークの事例が2020年10月14日に発表になりました。
遺伝子性疾患や、合併症のある人、高齢者の重症化リスクは高い一方で、若年者については、一般と比べて、とりわけ高リスクとは言えないと書かれています。
論文情報
The Impact of Coronavirus disease 2019 (COVID‐19) on Patients with Congenital Heart Disease across the Lifespan: The Experience of an Academic Congenital Heart Disease Center in New York City
Matthew J Lewis他著
Journal of the American Heart Association
リンク
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.120.017580
まとめ
2020年3月1日から2020年7月1日までの間にコロンビア大学アーヴィングメディカルセンターでCOVID-19と診断されたすべての先天性心疾患患者(53人)を対象
普段の先天性心疾患のフォローアップ対象者は7000人以上(0.75%が感染)
53人中9人が中等度から重度の症状になった。さらに、そのうち3人が亡くなった。
遺伝性症候群と疾患が進行した成人は、中等度/重度の感染症のリスクが高い
先天性心疾患のタイプは、症状悪化とは相関がない
(特定の心疾患が重症化しやすいという傾向はない)
その他、肺高血圧、肥満などが重症化との関連性が高め
先天性心疾患者は、年齢が低い人が多いので、分析に影響する可能性がある。
感想
先天性心疾患の中でもリスクはそれぞれ違っているようです。高年齢者や、遺伝性症候群の人は重症化が心配です。ただし、それ以外の人も、もちろん、安心というわけではないので、ご注意ください。
ニューヨークは感染率が高く、全体平均でも20%を超えているとの報道もありましたが、それに比べて感染者割合は低くなっています。皆さん、一般の人に比べて、リスクを認識して警戒しているのだろうと思います。
おそらく先天性心疾患で感染した人の数が少ないために、統計情報の論文が少ないです。これからも新しい情報がないか注意してみていきたいと思います。
注意点
何かの判断のご参考にされる際は、必ず、元論文をご参照下さい。また、常に、状況は変化していますので、ご注意ください。