フォンタンの運動のシステマティックレビュー2020

先天性心疾患の健康維持、長期的な改善に興味があります。

フォンタン患者の運動の効果と弊害について、16の研究をまとめて分析した論文を読みました。

論文情報

Physical exercise training in patients with a Fontan circulation: A systematic review
Linda E Scheffers 他著

European Journal of Preventive Cardiology
Online First (速報電子版)

リンク

https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/2047487320942869

 

まとめ

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フォンタン者の運動に関する論文のメタアナリシス
調査の動機

以下の疑問をもとに調査

  • 持久力トレーニングがフォンタン者の最も効果的な方法であるか?
  • フォンタン者を別の方法でトレーニングする必要があるか?
調査結果

2020年2月19日に過去論文の調査実施

殆どのトレーニングが12週間

  

全ての研究が運動トレーニングはフォンタン者にとって安全と結論

  • しかし、殆どの研究が体調がよくない人を研究に含めていない。
  • あらゆるフォンタン者にとって、運動が効果があり、リスクがないと言い切れる十分な研究が行われているわけではない 

今回の研究に基づくと、下肢に焦点を当てた筋トレが最も有望であるように思われる

  (この点に関する詳しい説明は見当たりません)

  

課題

多くの研究がトレーニング内容の詳細説明がないため再現できない

感想

フォンタン者のうち活動量が多い人は肝機能が悪いという埼玉医大の発表(AHA 2017年)がありましたが、このレビューには含まれていません。

埼玉医大の論文が、トレーニングを実施した結果についてではないためであることと、この論文の選択基準が、学会発表だけで論文化していない研究は除外しているためと思われます。

その結果、この論文で検討したすべての研究が「運動の弊害がないと結論付けている」となっています。また、トレーニング前後の肝機能のデータを分析している論文の記述はありません。

実験方法の微妙な違いで知見が反映されていないとすると、残念に思いました。