フォンタン患者の精神疾患のリスク:アメリカの論文

先天性心疾患の長期リスクについて調べています。

心室(フォンタン)の青年患者における精神疾患の調査報告がPEDIATRICS誌(2017)にありました。

Boston Children’s Hospitalの論文です。

 

論文

Psychiatric Disorders in Adolescents With Single Ventricle Congenital Heart Disease

David R. DeMaso (Boston Children’s Hospital) 他

リンク

Psychiatric Disorders in Adolescents With Single Ventricle Congenital Heart Disease | American Academy of Pediatrics

 

まとめ

 

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フォンタン患者の精神疾患リスク

調査対象

10歳から19歳

  フォンタン 一般者
  遺伝異常なし 遺伝異常あり  
人数 91 65 111
平均年齢 14 15.2 15.3
IQ 94.8 87.3 108.3

 

調査方法

精神科臨床医の面接、親、本人自己報告による評価です。

注意欠陥/多動性障害(ADHD)を含む破壊的な行動、抑うつ症状などの精神医学的評価を行います。

 

結果 

  先天性心疾患 一般者
不安     35% 7%
注意欠陥/多動性障害 34% 6%

 

神経発達は遺伝的異常があるほうがハイリスク
精神的機能障害のリスクは、遺伝的異常に関係ない

他の慢性疾患(がん、肝不全など)に比べて、精神異常の割合が高い

これまでの研究との違い

複雑先天性心疾患患者のメンタルヘルスは、調査が不十分であると書かれています。

過去研究は、親、本人の自己評価をもとにしていて、精神科医の診断は含まれてなかったとしています。

感想

アメリカの先天性心疾患に関するホームページを見ていると、精神的なリスクについての記述が多いと感じていました。この研究では、一般に比較して5倍程度のリスクがあるとなっています。

リスクを知っていることによって、異変に気付きやすくなり、支援を受けられるようになるとよいと思います。

情報

PEDIATRICS誌とは1948年に創刊された米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)の公式雑誌です。