アメリカ成人先天性心臓協会ACHAのウェビナー

海外の先天性心疾患者を支援する組織について興味があり調べています。

アメリカ成人先天性心臓協会(ACHA)のウェビナについて調べました。

今年から開催頻度が上がり、ほぼ毎週水曜日に行っています。

 

 

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ACHA ウェビナー

リスト

今年(2021)に入って行った内容と、これからの予告として載っている分をまとめました。

 

1月13日 コロナワクチンと先天性心疾患患者
1月20日 運動について(先天性心疾患の健康維持)
1月27日 成人後に先天性心疾患と診断されたときの解説
2月3日 ヨガ教室(健康的な生活)
2月10日 成人先天性心疾患患者の心不全の解説
2月17日 先天性心疾患者のデータ収集プロジェクトについて
2月24日 コロナによる孤立と心理的な影響
3月10日 症例解説 シミター症候群とShone Complex
3月17日 ACHAが公開している病院情報について
3月24日 先天性心疾患者の発達障害と心理社会的障害、認知症について
3月31日 瞑想 解説と実践
4月7日 ワーファリンと新しい経口抗凝固薬の長所と短所

 

リンク

ACHA Wellness Wednesdays - ACHA

 

開催時刻

ほぼ毎週水曜日、アメリ東海岸時間の19時から20時に行っています。

過去分のビデオも見ることが出来ます。

言語は?

言語は英語ですが、運動等を実践するときは、動画を見ればわかりますし、解説の場合も画面に出てくる図を見れば英語が苦手な人でもある程度はわかるかもしれません。

 

実際に見てみました

1月20日分の 「運動について(先天性心疾患の健康維持)」を見てみました。

中身は、

  • 運動のよい効果について
  • 運動のアメリカ政府のガイドラインの説明
  • 先天性心疾患の場合(アメリカ心臓協会の科学的声明の説明)
  • 主治医に相談しましょう
  • 頻度、強さ、1回の時間、種類を決めましょう
  • 目標を決めましょう(何をやりたいか、計測可能な目標、続けられる、など)

この会は資料を使った説明だけで、実技はありませんでした。

英語が少しわかれば、雰囲気は解りそうです。

感想

過去分も含めて、だれでも見られるのはとても良いと思います。

新しい話題もあるので、注目していきたいです。

アメリカの組織研究 the Adult Congenital Heart Association(ACHA)

海外では先天性心疾患の人々を支援をどのようにやっているかに興味があります。

そこで、支援組織について調べています。

アメリカのthe Adult Congenital Heart Association(ACHA)について調べました。

 

リンク

Adult Congenital Heart Association - Home - ACHA

 

まとめ

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ACHAの特徴

1998年設立

目的

教育、社会への働きかけ、研究を通じて、先天性心疾患の人生を改善し、寿命を延ばすこと

最高レベルのケアへのアクセスを増やし、患者と家族がそのケアを提供する医師と施設を特定できるようにする基準を開発する

 

活動の特徴

水曜日にウェビナーを開催

  • 医師が講演者になっている
  • 2021年から開催頻度が増えほぼ毎週開催になった

医療に関する情報のウェブサイトでの提供が充実

  • コロナウイルスに関する情報を、早くからウェブサイトで提供していました。
  • 地図から専門医を見つけられるようになっている

会費

  • 患者と家族は、無料
  • 医師は150ドルなど

感想

情報提供が充実している印象があります。

例えば、以前まとめた以下のような内容があります。

lemondh.hatenablog.jp

高頻度開催のウェビナーがこれからどうなっていくのか、期待しています。

会費など受益者からの直接の収益が少ないというのが気になります。

(受益者が寄付などをしている場合もあります)

 

次世代のフォンタン

フォンタンの医療技術の未来に興味があります。

次世代のフォンタンについてまとめた解説論文がアメリカ心臓協会にありました。

新技術についての部分をまとめてみます。

 

 

論文情報

Fontan Circulation of the Next Generation: Why It's Necessary, What it Might Look Like
次世代のフォンタン循環


Shelby Kutty他著

Journal of the American Heart Association. 2020; vol.9 Contemporary Review

 リンク

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.119.013691

 

まとめ

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フォンタンを改善する新医療技術

 

幹細胞による再生医療

  • 幹細胞を注入したあと、元々の細胞にくっついて成長することを期待した効果よりも、パラクリン効果が注目されている。

 フォンタンの補助ポンプ

  • 引用されている論文は2010年と少し前の論文です。引用論文の方式はフォンタンの人工血管に補助ポンプを置く方法ですが、これとは違う方法も提案されています。
  • 以前読んだ論文もご覧ください。
  • lemondh.hatenablog.jp

感想

 究極の希望は、自分の細胞で心臓を作って置き換えることだと思います。まだ実現までに時間がかかるとしたら、それ以外の方法で通常の血液循環に近付く方法が出来ればよいと思います。

人工血管の問題発生頻度は多くはなさそうですが、自分の細胞で人工的に組織を作る初期の活用例になりそうに思います。

 

先天性心疾患患者がやった方が良い事と出来ない理由

以前、アメリカ心臓病学会 cardiosmart 先天性心疾患との生活=10のヒントを読みました。先天性心疾患患者の体調をよくするためにやった方が良いことが色々あると思います。

やった方が良いとわかっているけどできない理由を考えてみました。

まとめ

やった方が良いと思われること

  • 自分の疾患について知る
  • わからないことがあったら、主治医に質問する
  • 運動する
  • 体に良い食事をする
  • 受診の記録をつけて保存する
  • 体調の記録をする
  • 歯をきれいにする(虫歯予防)

これらの実践が難しい理由

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先天性心疾患患者がやった方が良い事と出来ない理由

感想

どれもすぐに体調が改善したり、役にたったりするわけではないので、面倒に思ったり、忘れてしまったりがあると思います。

やり方がわからないことについては、それを教えてくれる手助けがあればいいなと思います。また、やるのを忘れてしまうことについては、それを思い出させてくれる手助けがあればよいと思います。

運動は、中学校から高校以上になってくると、勝つことを目標にした活動が多くなってきて、競技者レベルでない人が自分に合わせて運動する機会が少ない気がします。

 

本人が子供の場合や疾患が重度の場合には、自分ではできないこともあります。補助者と本人がどのように役割分担をするのかという問題もあると思いました。役割分担は、個人個人の状況によって変わってくると思います。

 

みんなが無理なく体調を整えることが出来るように手助けする方法があればよいと思いました。

 

参考

https://www.cardiosmart.org/topics/congenital-heart-disease/living-with-congenital-heart-defects

 

「うちの娘は長く幸せに暮らせるの?」フォンタン児の親の心配

フォンタン者の問題、将来リスクについて興味があります。フォンタン児の親の関心事についての論文がありました。オーストラリアとニュージーランドのフォンタンデータベースをもとに、親へ質問した結果をまとめた論文です。

 

論文情報

“Will she live a long happy life?” Parents' concerns for their children with Fontan circulation

 

Karin du Plessis他著

リンク

“Will she live a long happy life?” Parents' concerns for their children with Fontan circulation - ScienceDirect

 

International Journal of Cardiology Heart & Vasculature

Volume 18, March 2018, Pages 65-70

まとめ

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フォンタン児の親の懸念と状況

調査方法

  • メールを持っている親338人に送って107人から回答があった
  • 子供の平均年齢は11歳
  • 質問して回答する形式での調査をしている

 

子供の状態ごとの回答割合

  いつも 時々 まれに ない 知らない フォンタン前から
睡眠困難 16% 21% 28% 35% 0 7%
夜驚症 5% 15% 23% 55% 2% 3%
不安  15% 32% 30% 21% 2% 4%
ふさぎこみ 2% 19% 27% 49% 3% 1%
学習・集中
困難
26% 23% 23% 27% 1% 4%
怒り 20% 39% 20% 22% 1% 3%

 

 

質問内容

  • フォンタン循環のある子供に対するあなたの最大の関心事は?
  • 抗凝固に関して、あなたの最大の懸念/問題は何ですか?
  • あなたの子供は週に何回運動しますか?どんな種類の運動?


以下の点で、同級生と比較して、お子さんの能力をどのように評価しますか?

  • 身体活動/運動耐容能
  • 精神的な安定性
  • 動作
  • 教育と学習

次の症状の頻度は?

  • 脚の痛み/脚の筋肉のけいれん/脚の過敏性
  • 長引く頭痛
  • 口内炎
  • 睡眠困難
  • 夜驚症
  • 爪を噛む

 

  • あなたの子供は悲しそうに見えますか、それともうつ病の兆候を示していますか
  • あなたの子供は学習や集中力に問題がありますか
  • あなたの子供は怒ったり、気性を失いやすいように見えますか?
  • お子さんの学校が自分のニーズをどの程度サポートしていると思いますか。
  • 以前に心理/精神科/カウンセリングサービスにアクセスしたことがありますか?
  • 心理学/精神科/カウンセリングサービスにアクセスすることに興味がありますか?
  • 子供の医療の旅行は経済的に影響を与えましたか?

 

感想

論文が事例紹介っぽくなっていて、統計的なまとめが多くありません。被験者も偏っている可能性があります。(回答率が3割)

また、自由記述ではなく、質問をしているので、回答の観点が偏っている可能性があります。

すなわち、この内容が全体を代表した意見かどうかわかりませんのでご注意ください。

 

先日も、親の心理について、複数の論文をまとめた論文を読みました。

先天性心疾患児の親の心理・行動傾向のメタ分析 - Life On Nature

前回の論文は、どちらかというと、生まれた直後の人を対象にしていました。今回の論文は平均年齢11歳と少し上の人になっています。ですので、将来への不安の観点が多めになっているように思います。

フォンタンの術式を知らない人が半数近くいますが、自分の術式以外の方法は教えてもらわないので、どんな種類があるのかを知らないのも不思議ではない気がしました。

もし、日本に比べて、サポートが充実しているなら、親の心配毎も違っているのかと思いましたが、あまり変わらないようにも思います。オーストラリア、ニュージーランドにおいても、まだまだ、患者、家族の様々な不安への対応が十分ではないようです。

 

論文誌情報

International Journal of Cardiology Heart & Vasculatureは心血管病理についてのオープンアクセス論文誌です。

インパクトファクターは1.780です。

フォンタン成人の統計(オーストラリアとニュージーランド)

 フォンタン者の余命についての論文を読みました。米国心臓病学会の論文です。オーストラリアとニュージーランドには、フォンタン者を登録する仕組みがあり、その分析をした論文です。2018年発表です。

 

 

論文情報

Clinical Outcomes in Adolescents and Adults After the Fontan Procedure

(フォンタン手術後の青年および成人の臨床転帰

Mark Dennis他著

 

J Am Coll Cardiol. 2018 Mar, 71 (9) 1009–1017

リンク

https://www.jacc.org/doi/full/10.1016/j.jacc.2017.12.054

 

まとめ

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フォンタン者の統計

データの登録開始は2008年

16歳以降に発生した問題について示しています。

心臓移植を受けた人は17人

感想

フォンタン手術を受けた人がどのような状態になっているのか知りたいと思い調べました。

手術が始まってからまだ数十年しかたっていませんので、発生する問題と解決法がまだまだわかりきっていないようです。例えば何歳まで生きている人がいるのかなどの統計も出そろっていません。

 

先天性心疾患の子供の身体活動

先天性心疾患の運動による体調の維持、長期的な体調改善について調べています。

先天性心疾患の子供の身体活動の傾向について、メタアナリシス論文がありました。

 

論文情報

 

Physical activity modification in youth with congenital heart disease: a comprehensive narrative review

Arend W. van Deutekom & Adam J. Lewandowski

Pediatric Research (2020)

 

リンク

Physical activity modification in youth with congenital heart disease: a comprehensive narrative review | Pediatric Research

まとめ

 

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先天性心疾患の身体活動の現状と問題

身体活動=運動ではない。身体活動には、遊び、家事、仕事なども含む

先天性心疾患者は身体活動不足の人が多いか?

  • 先天性心疾患児は、一般に比べて、身体活動が少ないという論文と変わらないという論文があり結果はバラバラ。
  •  18件の研究のうち9件(50%)で、先天性心疾患児と一般児で身体活動に統計的に有意な差がないとしている
  • (ただし、一般も身体活動十分とは限らない 世界146カ国にわたる調査で青年の81%が基準に達してないという報告あり)

身体活動不足の原因

  • 親や、医師、自分による運動制限や苦手意識、運動への恐怖感の影響が大
  • 英国先天性心疾患の子供のうち12%が運動制限を過大に解釈
  • 心疾患の重度と身体運動不足の度合いの相関は低い
  • 臨床医の調査で、運動促進を患者に助言するために必要な知識、スキル、リソース、時間がないとの回答があった

身体活動を改善するための活動と効果

活動評価をした研究は8本のみだった

  • スポーツキャンプ(1件)
  • 運動を動機づける面接(1件)
  • モバイルアプリと、個人毎に作成されたメッセージ(1件)
  • 自宅近くでの標準化された運動プログラム(5件?)

結果

活動実施中の効果

  • 効果あり(4件)
  • 効果なし(4件)

活動実施後の継続性の評価

  • 長期的な継続についての評価は2件のみ
  • 運動が実験後も継続した結果としなかった結果が1件ずつ
  • 座学だけでも効果がある場合がある

将来は?

  • ウエアラブルやゲーム化が考えられる
  • ただし長続きするかどうか不明

感想

身体活動不足には、運動への恐怖感や、運動制限への思い込みの影響が大きいとのことです。どこまで運動しても大丈夫なのかわからず心配である点や、バランスが悪く転倒が多いため怪我が心配など、心臓とは直接関係ない問題もあると思います。

 

ゲーム性を入れるのは導入としてはわかりやすく良いとは思うのですが、ゲームだから継続するかというとそうではないと思います。目的を理解することと同時に飽きずに続けられる工夫が必要だと思います。

高頻度での運動をするとなると、親子ともども忙しい中では難しいこともあると思います。

 運動してもよいのかわからず不安のため、何もしないで時間が過ぎていく場合もあると思います。理想は安心して運動を指導してもらえる施設があることだと思います。

雑誌情報

Pediatric Researchは小児科分野の査読付き論文誌です。

米国小児科学会などの公式発行物です。

インパクトファクターは2.87です。