先天性心疾患の運動方法についてのまとめ

先天性心疾患の運動方法について調べています。

ここまで調べたことをまとめてみます。

 先天性心疾患の中で、どの疾患を対象にした文書かによっても指示が大きく異なってきます。実施前に医師の指導を受けるべきというのは、共通の指示でした。

 

以下では、出典を(かっこ)で示しました

全体

現時点では、適切な運動レベル、頻度等確定していない

運動のリスクも不明な点が多い

各所で指示が異なっている場合がある(運動強度や頻度)

 

運動の強度と頻度

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有酸素運動の指示の違い

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筋トレと呼吸筋トレーニン

運動のリスク

運動中のリスク

一部の疾患以外は心停止リスクは少ない

長期的な影響

悪影響の可能性がわかっていないものがある

 肝臓などのうっ血、繊維化を促進する可能性

 不整脈を誘発する可能性

 

感想

まだまだ分からない点が多いようです。

特に、長期的な悪影響が気になります。

例えば、フォンタン患者であっても、運動したほうが体調が良いという報告が多く、かなり高強度の運動を勧めているものもありますが、一方で肝臓などを傷めてしまうリスクを指摘している論文もあります。

有酸素運動については指示の幅が広く、どこが正しいのかわからないという感じです。

今後も、新しい調査結果を反映しながら、このまとめを更新していきます。

リンク

この文書は、以下のリンクの調査結果をまとめました。

lemondh.hatenablog.jp

フォンタンの人工血管は一生そのままでいい?

日本小児循環器学会雑誌(2020)にフォンタンの人工血管の長期的な変化に関する

症例報告Editorial Commentがありました。

論文情報

心外導管型フォンタン手術後遠隔期に導管狭窄をきたした2例

満尾 博九州大学病院心臓血管外科)他

Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 36(1): 84-89 (2020)

リンク

症例報告

Editorial Comment

 

わかったこと

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フォンタンの人工血管の長期的な変化の可能性

3歳ごろのとても小さいときに人工血管を入れて、それをそのまま一生使っていけるのかについては、素朴な疑問としてあります。人工血管自体は伸びなくても、周辺の血管が余分に成長してくれれば、問題ないのかななんて考えていました。

結論として、人工血管が問題となる可能性は発生確率としては低いようです。

想定される問題の原因は、

  • 成長によって、血管が伸ばされることによって内径が狭くなるということ
  • 血管が折れ曲がってしまうことで、流れが悪くなること

の二つがあります。

(やはり、周辺の血管が余分に伸びて完璧に補ってくれるわけではなさそう)

このうち、折れ曲がりの方が問題が多い模様です。

折れ曲がった部分が血栓等でさらに狭くなり、流れが悪くなることで様々なところに問題が出てくるようです。

問題の発見も微妙で、手術を行うかどうかの判断も難しいそうです。

感想

発生確率は高くないということですが、ゼロではありません。

しかし、検査を怠らないようにすることが大事だと思います。

 

アメリカ心臓協会(AHA)の筋トレの解説(2007)

アメリカ心臓協会による筋トレの解説(2007年改訂版)を読みました。各種心臓疾患患者に向けた内容です。

論文情報

題名
Resistance Exercise in Individuals With and Without Cardiovascular Disease: 2007 Update

A Scientific Statement From the American Heart Association Council on Clinical Cardiology and Council on Nutrition, Physical Activity, and Metabolism

著者

Mark A. Williams 他

 

掲載誌

Circulation. 2007  Volume 116, Issue 5 572–584

AHA Scientific Statement

リンク

CIRCULATION AHA

まとめ

2000年に出された文書の改訂版です。

内容がとても幅広いので、一部についてまとめてみます。

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筋トレの効果

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筋トレのやり方

各種疾患ごとの効果や注意点が書かれています。 その為、先天性心疾患に特化した記述はそれほど多くありません。

一部の疾患では筋トレを行う際に注意が必要ですが、ほとんどの場合には、低リスクと書かれています。逆に、息止めや重すぎる負荷をかけずに、リスクなく筋トレをするようにすべしということでしょう。

筋トレだけではなく、有酸素運動と組み合わせてやることを勧めています。

一つ一つの運動(例えば、上腕二頭筋を鍛えるにはどうするかなど)についての細かい説明は本文には書かれていません。

感想

 全身にわたるかなり本格的な筋トレを勧めていたのが意外でした。トレーニングしていない部位は強化されないので、くまなくやるように勧めています。ただ、あまり時間や手間がかかると続けられなくなる人が多くなるのも問題ということもあるようです。

個人的には全く筋トレの知識がないので、専門家にコーチングをしてもらう必要を感じました。

注意点

 何かの判断材料にされる際には、必ず原著に当たってください。

 

在宅運動プログラムでフォンタン患者の生活の質を上げられる??

Online Journal であるCongenital Heart Disease誌に、「家庭内での運動プログラムでフォンタン患者の身体的生活の質を上げられるか?」という論文がありました。(2016)

ウィスコンシン小児病院の研究です。

 

論文情報

タイトル

Can a Home-based Cardiac Physical Activity Program Improve the Physical Function Quality of Life in Children with Fontan Circulation

 

著者

Roni M. Jacobsen (Division of Pediatric Cardiology, Department of Pediatrics, Medical College of Wisconsin)他

掲載雑誌

Congenital Heart Disease Volume 11, Issue 2 March/April 2016 Pages 175-182

AAP YOUNG INVESTIGATOR ABSTRACT

(16 February 2016)

リンク

link

 

まとめ

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在宅トレーニン

 

目的

フォンタン患者の在宅身体活動プログラムの安全性、実現可能性、および利点を評価

実験対象

  • 8歳から12歳までの合計14人の子供
  • 中程度以上の強度の運動活動による制限がない子供
  • 70%はもともと活動的と回答している人だった

期間

 12週間

検証方法

実験途中

 日記、電話での質問、Fitbit

実施前後

 20mシャトルラン 各種計測

レーニング内容

DVDまたは紙の配布資料でやり方を示す

週に3〜4回の動的および静的な家庭用エクササイズ45分間と3つの対面エクササイズセッション。

結果

  •  シャトルランの成績は向上
  •  バイタルサインには変化なし
  •  本人のPedsQLは変化なし
  •  親からみたPedsQLは改善
  •  被験者はやる気のある人たちだった点に注意が必要

 

感想

2016年以前の段階では、在宅運動プログラムの評価はまだ少なかったようです。現在アメリカでは、どのくらい在宅での運動プログラムが実施されているのか、気になります。 

運動はほぼ毎日やるとしたときに、毎回病院でやるのは無理だと思います。そこで、在宅で自分達で管理してできる必要があります。その意味で、この論文はそのあたりを詳しく書いてあるものと期待していました。しかし、内容として、すこし物足りない論文でした。

 運動の内容が同じで明確に提示してあれば、在宅でも、病院でも運動の効果は同じであるのは当然だと思います。

 病院と在宅の違いは何かを明らかにして、そこを解決する手段を提示しないといけないと思うのですが、書かれていません。被験者がどのように運動しているのか、どんな困難があったのかも質問しているのかもしれませんが、論文中には書かれていません。

また、具体的にどのような運動をしたのかについても書かれていません。

 

 

スーパーフォンタンは可能か??

The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgeryという雑誌に「Super-Fontan: Is it possible?」という投稿がありました。

 

出典

The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery

March 2018Volume 155, Issue 3, Pages 1192–1194

Brief Research Report

著者

Rachael Cordina, 他

リンク

https://www.jtcvs.org/article/S0022-5223(17)32368-1/fulltext

 

まとめ

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スーパーフォンタンの特徴

 

どういう人か?

スーパーフォンタンとは優れた運動能力を備えたフォンタン患者と定義されています。

オーストラリアとニュージーランドのフォンタン患者で16歳以上、2010年以降にCPETの検査を実施した人133人のうち14人(11%)が優れた運動能力を持っている人でした。

その中で、身体活動レベルに関する医療記録があった11人を見ると、

全員が中程度から激しい活動に参加していました。

 週に3回以上のスポーツ活動。

全員がフルタイムで雇用または勉強しています。

平均追跡期間は3.8±2.1年でした。フォローアップ期間中に記録された主要な臨床事象はありません。

 

平均年齢24歳、(範囲は16〜34歳)です。

身体的傾向

  • 弁逆流少
  • 大動脈閉塞がない
  • または大きな不飽和化(36%は小さな開窓があった)
  • 被験者の21%に旧式フォンタン(APC
  • 21%には以前に不整脈心筋焼灼術とペースメーカー
  • 14%には軽度から中程度の収縮期心室機能障害

留意点

選ばれた人は若い人になっています。この状態が長期的に継続するのかは現状ではわからないと書かれています。

掲載雑誌について

Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgeryは、心臓胸部外科、心臓病学、肺医学、および血管疾患を対象とする医学雑誌です。

米国胸部外科学会および西部胸部外科学会の公式雑誌です。

 

感想

まだ、最終的な結論には至っていない様ですが、一部のフォンタン患者に、心疾患がない人と同レベルの運動能力の人がいるようです。

必ずしも、身体的特徴が良好なわけではないのに、高い運動能力を示しているのが、興味深いです。

脈がよくないのはペースメーカを入れてしまえば運動に支障がなくなるが血管が狭い等の疾患は治せないとも、運動していても脈の異常には効果がないとも解釈の可能性があるように思います。

多くの人が元気で暮らしていけるように、何をすればよいのか、明快になっていくと嬉しいですね。

 

注意点

 論文を参考に何かの判断をされる際には、必ず原著に当たってください。

 

週2回の筋トレ(成人)を勧めるアメリカ心臓協会

先天性心疾患の運動について調べています。

アメリカ心臓協会の運動についての解説を読みました。先天性心疾患に限った内容ではなく、心臓に問題がある人全体に対する解説です。

リンク

Strength and Resistance Training Exercise | American Heart Association

 

まとめ

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筋トレのすすめ

抜粋

頻度

アメリカ心臓協会は少なくとも週に2回の筋力トレーニングを推奨しています。

 

筋トレの効果

  • 骨、筋肉、結合組織(腱および靭帯)の強度の増加。
  • けがのリスクを下げる
  • 筋肉量の増加。これにより、体はカロリーを燃焼しやすくなり、健康的な体重を維持できます。
  • 生活の質の向上

 

始めるときには

医師に相談して、安全で効果的な身体活動プログラムに従っていることを確認

認定されたフィットネス専門家に相談して安全なテクニックを学ぶことをお勧め 

やり方

通常、筋肉を疲労点まで動かす8〜12回の反復の1セットで充分

少なくとも週に2回、各トレーニングの間に最低2日間の休憩

具体的な内容については書かれていません。

 

心臓の問題や脳卒中から回復している場合はどうなりますか?


一部の人々は心臓発作の後に運動することを恐れています。しかし、定期的な身体活動は、別の心臓発作を起こす可能性を減らすのに役立ちます。

アメリカ心臓協会は2014年に声明を発表しました。脳卒中後の身体活動と運動は心血管のフィットネス、歩行能力、上腕筋力を改善できるという強い証拠があるため、医師は脳卒中患者に運動を処方する必要があるということです。

 

感想

やはり、毎日やるのはよくないとなっています。個人的には、毎日やらないとなると、忘れてしまって、気付いたら予定の日を過ぎていたなんてことがよくあります。

基本的な筋量が少ないことで、転倒しやすくなってしまうように思うので、無理のない範囲で筋肉をつけたほうが良いですね。

4種類の運動 (有酸素運動 筋トレ バランス 柔軟) をすべて行う方がよいとも書かれていました。時間が限られた中でうまくできる方法を取り入れたいです。

 

子供を運動させるには?(アメリカ心臓協会AHA)

アメリカ心臓協会で「子供を運動させるには」という解説がありました。

アメリカ心臓協会は、子供と10代(6〜17歳)が毎日、中程度から激しい運動を少なくとも60分間受けることを推奨しているそうです。

 

リンク

How Can I Help My Child Be More Physically Active? | American Heart Association

 

まとめ

 

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子供を活動的にする手助け

要約

活動的な子供は次のような傾向があります。

  •  健康的な体重
  •  より強く、より健康な骨と筋肉
  •  より良い心臓と脳の健康
  •  記憶、注意、問題解決などの脳機能の改善
  •  特に数学、読み書きにおける学校への出席率と学業成績の向上
  •  心血管疾患、糖尿病、およびある種の癌の長期的なリスクを下げる
  •  ストレスと不安とうつ病の症状が少ない
  •  教室での不適切行動の減少
  •  自信と自尊心を含むメンタルヘルス心理的幸福の改善

役立つ可能性があるヒント

  • 家族で一緒に活動的になる 
  • 楽しく
  • 好きで長く続けられる活動を探すのを助ける
  • テレビやゲーム・スマホをする時間を制限する
  • テレビをベビーシッターにしない
  • 活動的になる機会やおもちゃを提供する 自転車・スケートボード・縄跳び・ボールなど
  • プール、レクリエーションセンター、自転車道、公園など、近くのコミュニティ施設に慣れる
  • 安全なときは、常に車ではなく、徒歩または自転車で外出する
  • 今、活動的でない場合は、ゆっくり始める
  • 賞賛、報酬、励ましが手助けになる

身体障害者、または太りすぎている場合はどうなりますか?

すべての子供たちは、身体障害者であっても、身体的にアクティブである必要があります。活動は特に、障害や体重の問題を持つ子供の身体的および心理的幸福に役立ちます。

できるだけアクティブになるようにサポートします。他の子供たちと比較したり、それほど多くのことができない場合は、恥をかかしたりしないでください。彼らの成功を祝います。何よりも安全に、楽しみましょう!

 

感想

子供の性格や好みにもよりますが、より体を動かすように仕向けて行くとよいということだと思います。

子供のうちに運動習慣をつけるといいですね。子供が活動的になれば親の健康にもよさそうです。