先天性心疾患における慢性心不全 --問題と統計--(AHA科学的声明をよむその1)
先天性心疾患の長期的リスクが気になります。
2016年にアメリカ心臓協会の科学的声明として、慢性心不全(heart failure)について書かれていました。
統計の記述を見てみます。
論文情報
Chronic Heart Failure in Congenital Heart Disease
A Scientific Statement From the American Heart Association
Karen K. Stout他著
Originally published19 Jan 2016
リンク
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/cir.0000000000000352
まとめ
慢性心不全とは
心臓から血をうまく送れなくなる状態が徐々に悪化した状態
先天性心疾患の心不全の問題
- 発生する年齢が様々
- 心臓の構造と外科的修復結果が個々人で違っている
- 多様な原因
- 疾患進行を調べる血液検査(バイオマーカー)がない
- 信頼できるリスク予測方法や治療有効性の評価項目(end point)がない
- 治療効果を実証する証拠が不足
統計
- 小児期に先天性心疾患全患者の約5%
- フォンタン手術後の患者の最大10%から20%
フォンタン手術後有病率は成人期までにほぼ50% - 先天性心疾患成人8000人以上の全国調査で全死亡の26%
感想
心不全はわかったようなわからないような感じがあります。逆に例えば、「逆流がある」と言われれば、血が逆に流れているんだなと現象が頭に浮かんできます。これは、結果から付けられた分類なので、原因がイメージつかないということだと思います。
一般的な心不全患者と、先天性心疾患の患者では原因が違っている場合があり、一般患者用の診断方法や、治療方法がそのままでは使えない場合が多くあるということで、この文書が書かれているようです。
まだまだ、治療技術の進化が必要なようです。