フォンタンの運動「フォンタン アメリカ心臓協会AHAの科学的声明」を読む その8
フォンタン患者の長期リスクについて、調べています。ここでは、運動:評価と治療としての手段についてまとめます。
2019年7月にアメリカ心臓協会(AHA)から「フォンタン循環の子供と大人の評価と管理」という文書が発行されています。
長い文書で内容が多岐にわたっていますので、少しずつ理解したことをまとめています。その8回目です。
文書
Evaluation and Management of the Child and Adult With Fontan Circulation: A Scientific Statement From the American Heart Association
リンク
https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/CIR.0000000000000696
まとめ
フォンタン患者の運動能力
フォンタン患者では、異常に低い運動能力がとてもよくあり、様々な要因がある
要因の一つに骨格筋量の減少(サルコペニア)がよくある
運動の種類と効果
脚の筋トレが、フォンタンの成人の末梢筋量、静脈還流、心拍出量、および最大値を大幅に増加させることができる
吸気筋トレーニング(6週間)が運動中の安静時心拍出量と換気効率を改善
対照的に、有酸素トレーニングプログラムの結果はあまり期待できなかった
安全性と効果
運動はフォンタン患者にとって安全に見える
運動トレーニングに関する23の記事では、200人を超える参加者で3つの有害事象のみが見つかり、それらはすべて一時的
記録された主な身体的利点は、筋力と一回拍出量の改善
今後の研究課題
フォンタン循環を有する患者のための運動トレーニングの
- 最適なタイプまたは組み合わせ
- 頻度
- 期間
に関してさらなる研究が必要
感想
フォンタン患者は有酸素運動の効果が期待できなかったとされています。
この根拠になった論文は、ファロー四徴症とフォンタンの患者(10〜25歳)に有酸素運動を12週間行っています。その結果ファロー四徴症は最大酸素摂取量が増加しましたが、フォンタンでは増加しなかったと書かれています。
(この根拠になっている論文は、フリーでなかったので序論しか読めていません) 論文へのリンク
下肢筋トレと呼吸筋トレーニングについては、効果が認められるとしています。
足以外の筋トレについては、書かれていません。
ただし、この文書中の効果とは、身体能力的で計測可能であるものを対象としているように見えます。例えばリフレッシュ効果のように測れない効果や、学習への影響のように関連を証明しづらい効果については、ここでは対象外です。
運動のリスクは少ないとしている点は安心材料ですね。
運動トレーニングについて、効果があって安全なやり方が確立され、みんなが安心してできるようになるとよいなと思います。