開窓フォンタン 閉じると閉じないの違いは?

フォンタン手術の開窓は閉じるべきか?効果は何か?について興味があります。

開窓フォンタンを閉じた場合と閉じない場合のその後の状況についての論文を読みました。

アメリカMedical College of Wisconsin 2013年の論文です。

 

フォンタン開窓とは?

下半身から帰ってきた血液を肺動脈につなぐ手術がフォンタン手術ですが、その経路(多くは人工血管)に穴をあけて、心臓とつなぐのが開窓(fenestration)です。

 

論文情報

フォンタン開窓閉鎖と無再発生存

Fontan fenestration closure and event-free survival

Bartlomiej R. Imielski他著


The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery Volume 145, ISSUE 1, P183-187, January 01, 2013

 リンク

https://www.jtcvs.org/article/S0022-5223(12)01117-8/fulltext

まとめ

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開窓フォンタンの開閉とその後の経過の比較

意図的に開窓を閉じるかどうか、いつ閉じるかという問題は未解決のまま

 

開窓のリスク

  •  チアノーゼ
  •  全身の血栓塞栓
  •  静脈うっ血
  •  血栓リスク増加

開窓の利点

  •  手術直後の効果
  •  中心静脈圧の低下

   以下のリスクの低下の可能性

    運動不耐性、たんぱく質喪失性腸症、可塑性気管支炎、徐脈性不整脈

 

開窓を閉鎖するかの判断(当院(Children's Hospital of Wisconsin?)の場合)

  •  フォンタン後1~3年でカテーテルして判断
  •  以下をもとに判断

  全身静脈圧

  心拍出量

  酸素飽和度のテスト閉鎖によって誘発された変化

 

本論文の条件

  •  1994年1月から2007年6月まで当院(Children's Hospital of Wisconsin?)で有窓フォンタン手術を受けた全患者を調査
  •  161人の患者が開放型に分類され、51人が閉鎖型
  •  被験者が若いため長期変化はわからない

感想

開窓を閉じるか閉じないか、閉じそうになったら広げるのかなど、色々気になりますが、答えは出ていないようです。どんどん変化している治療に対して、統計的に〇と×の結論を出すのは難しいのかもしれません。

フォンタンで開窓をした人の中での比較ですので、そもそも開窓フォンタンじゃない人は本論文では対象としていません。

引き続き調べていきたいと思います。

論文情報

The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery誌は、

外科的介入に重点を置いた、心臓、大血管、肺、胸部の疾患に関する記事を扱っています。これは、米国胸部外科学会および西部胸部外科学会の公式雑誌です。

後天性心臓手術、先天性心臓修復、胸部手術、心臓と肺の移植、機械的循環サポート、その他の手術の技術と開発に焦点を当てています。

インパクトファクター4.880です。