先天性心疾患の子供の身体活動
先天性心疾患の運動による体調の維持、長期的な体調改善について調べています。
先天性心疾患の子供の身体活動の傾向について、メタアナリシス論文がありました。
論文情報
Physical activity modification in youth with congenital heart disease: a comprehensive narrative review
Arend W. van Deutekom & Adam J. Lewandowski
Pediatric Research (2020)
リンク
まとめ
身体活動=運動ではない。身体活動には、遊び、家事、仕事なども含む
先天性心疾患者は身体活動不足の人が多いか?
- 先天性心疾患児は、一般に比べて、身体活動が少ないという論文と変わらないという論文があり結果はバラバラ。
- 18件の研究のうち9件(50%)で、先天性心疾患児と一般児で身体活動に統計的に有意な差がないとしている
- (ただし、一般も身体活動十分とは限らない 世界146カ国にわたる調査で青年の81%が基準に達してないという報告あり)
身体活動不足の原因
- 親や、医師、自分による運動制限や苦手意識、運動への恐怖感の影響が大
- 英国先天性心疾患の子供のうち12%が運動制限を過大に解釈
- 心疾患の重度と身体運動不足の度合いの相関は低い
- 臨床医の調査で、運動促進を患者に助言するために必要な知識、スキル、リソース、時間がないとの回答があった
身体活動を改善するための活動と効果
活動評価をした研究は8本のみだった
- スポーツキャンプ(1件)
- 運動を動機づける面接(1件)
- モバイルアプリと、個人毎に作成されたメッセージ(1件)
- 自宅近くでの標準化された運動プログラム(5件?)
結果
活動実施中の効果
- 効果あり(4件)
- 効果なし(4件)
活動実施後の継続性の評価
- 長期的な継続についての評価は2件のみ
- 運動が実験後も継続した結果としなかった結果が1件ずつ
- 座学だけでも効果がある場合がある
将来は?
- ウエアラブルやゲーム化が考えられる
- ただし長続きするかどうか不明
感想
身体活動不足には、運動への恐怖感や、運動制限への思い込みの影響が大きいとのことです。どこまで運動しても大丈夫なのかわからず心配である点や、バランスが悪く転倒が多いため怪我が心配など、心臓とは直接関係ない問題もあると思います。
ゲーム性を入れるのは導入としてはわかりやすく良いとは思うのですが、ゲームだから継続するかというとそうではないと思います。目的を理解することと同時に飽きずに続けられる工夫が必要だと思います。
高頻度での運動をするとなると、親子ともども忙しい中では難しいこともあると思います。
運動してもよいのかわからず不安のため、何もしないで時間が過ぎていく場合もあると思います。理想は安心して運動を指導してもらえる施設があることだと思います。
雑誌情報
Pediatric Researchは小児科分野の査読付き論文誌です。
米国小児科学会などの公式発行物です。
インパクトファクターは2.87です。