感染性心内膜炎について
先天性心疾患で患者が注意することとして、感染性心内膜炎があります。
これを調べてみました。日本小児循環器学会のガイドラインの一部を参考にまとめました。
参考文献
日本小児循環器学会
感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017 年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2017_nakatani_h.pdf
どのくらいの人がかかる?
10万人当たり1年間にかかる人の数
成人先天性心疾患患者 | 110人 |
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先天性心疾患の小児 | 41人 |
一般の人 | 3人 ~ 7 人 |
一般の小児 | 0.34人 から0.64人 |
先天性心疾患の人はそうでない人に比べて割合が高いです。大人の方が高割合になっています。
なりやすい人は?
1.高度リスク群(感染しやすく,重症化しやすい患者)
• 人工弁
• 複雑性チアノーゼ性先天性心疾患(単心室,完全大血管転位,ファロー四徴症)
• 体循環系と肺循環系の短絡造設術を実施した患者
• 過去にかかった人
2.中等度リスク群(心内膜炎発症の可能性が高い患者)
• ほとんどの先天性心疾患
• 後天性弁膜症
• 閉塞性肥大型心筋症
• 弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
• 人工ペースメーカ,植込み型除細動器などのデバイス埋め込み患者
• 長期にわたる中心静脈カテーテル留置患者
なりやすいのはどんな時?
- 歯石除去・抜歯など
- 虫歯・歯周病
- 皮膚や軟部組織の感染
- 手術
- アトピー性皮膚炎(全体で皮膚疾患が占める割合は1%だが重症化リスクあり)
- 免疫抑制薬を長期間使用
- 肺炎 (まれに)
- ピアス挿入・刺青(症例報告が散見)
- 歯磨き、食事で口の中が傷ついたとき
- 乳歯が自然に抜けた際のリスクは比較的少ない
予防方法(患者自身の)は?
- 口の中の衛生管理
- アトピー性皮膚炎の場合には皮膚科受診
病院に行くべきなのはどんな時?
原因のはっきりしない発熱が4 日以上続くとき
気を付けること
歯科や病院を受診する際に リスクをもつことを自己申告する
心疾患の主治医にあらかじめ対応を質問しておく
感想
歯石除去にリスクがあり、食事や歯磨きなどで口に傷がついても感染する場合があるとは知りませんでした。単に虫歯にならなければよいのかと思っていました。
普段から口の中をきれいにする習慣をつける必要がありますね。
皮膚病もリスクありということなので、これも気を付けたほうがよさそうです。
医療処置をするときに予防的に抗菌剤を使うかどうかについて意見が割れており、国によってガイドラインが異なっているようです。(日本では使用を推奨している場合が多い)
お願い
何かの判断材料にされる際には、必ず元文献をご覧ください。