フォンタン患者が運動すると肝機能に悪影響がある?? その2(1年の変化を見る)
2016年から2017年にかけて埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科のグループからフォンタン患者の運動の肝機能などへの悪影響に関する学会発表が行われています。
2本目の学会発表についてまとめてみます。
前回同様、学会発表の予稿のみで論文が見つかっていません。そのため、情報が少なく不明点が多数あります。したがって、内容の理解が十分ではありませんのでご注意ください。
情報元
第53回日本小児循環器学会総会・学術集会 (2017年)
経時変化からみたFontan患者における日常の活動量と肝機能の関連
簗 明子 他
まとめ
研究方法
- Fontan患者37人(平均9.8歳)
- 行動量測定計を2週間つけ、活動消費エネルギーActivity Energy Expenditure(AEE)、歩数を測定
- 1年後に同様の計測をする
- γ-GTP値とIV型コラーゲン7Sを比較する
結果
- 活動が増加した人のγ-GTP値は上がった(悪化)
- 活動が減少した人のIV型コラーゲン7Sは下がった(改善)
疑問点
資料を読んで、個人的にわからなかった部分をまとめます。
- 被験者の年齢分布が書かれていません。
- 37人実験していますが、分析には22人(13人+9人)しか使われていません。その分け方の説明が書かれていません。
- AEEが増加した人はγ-GTPのみ、減少した人はIV型コラーゲン7Sのみの結果しか書かれていません。つまり、増加した人のIV型コラーゲン7Sと減少した人のγ-GTPの変化は未記載です。
感想
同じ人物の活動量の変化と肝機能変化の分析は、年齢による状態の変化の影響はあるものの、結果がわかりやすいように思いました。
被験者にセンサーを渡して、2週間の活動を計測するという時間がかかる分析なので、被験者を増やすのが難しそうです。そのために被験者の分類も増やすことが難しいと思います。
例えば、中心静脈圧の違いとの関係などの分析も知りたいですが、色々見ようとすると被験者の少なさが障害になりそうです。
1年をあけて2回の計測をするということは、なおさらです。
色々な組織と患者が協力して、実験と分析ができればよいですね。
本筋とは関係ありませんが、被験者の平均歩数が1万歩前後になっています。結構多いように思えましたが、子供では一般的な歩数なのでしょうか?