フォンタン者に運動を勧めるべきか=無理?(メタアナリシス)
フォンタンの運動は効果があるとされていますが、副作用については、今後の研究が必要とされている論文が多くあるなど、よくわかっていません。
複数の論文をまとめた研究であるメタアナリシスの論文を読んでみました。2015年の論文です。
論文情報
Should We Recommend Exercise after the Fontan Procedure?
(フォンタン患者に運動を勧めるべきか?)
Nigel Sutherland 他著
https://www.heartlungcirc.org/article/S1443-9506(15)00135-3/fulltext
まとめ
推奨運動を決められるかを目的に過去論文を調査
23の論文201人の被験者を調査
運動能力低下の原因
- 1回の拍出量が少ない
- 酸素飽和度が低い
- 筋肉が弱い = 親の過保護の影響もある
安全性と効果
- この中では悪影響の報告はない
- ただし、安全性に明確な合意はない
- ほとんどの研究で運動が改善している
各論文の研究の内容
実施場所の統計
家庭 | 6論文 |
病院 | 8論文 |
病院+家庭 | 2論文 |
監視付きジム | 4論文 |
運動の種類
筋トレのみ | 1論文 |
有酸素+筋トレ | 7論文 |
有酸素と教育 | 2論文 |
有酸素運動のみ | 7論文 |
フィットネスと運動能力開発プログラム | 1論文 |
遊び | 1論文 |
運動の仕方はバラバラ(特に子供対象の場合)
強度の監視が殆どの研究で不十分か記載されていない
運動の期間と頻度
期間:2週間から18か月の間でバラバラ
頻度:週1回から毎日までバラバラ
運動の改善のみに注目している研究が殆ど
運動後の体の適応を調査した研究は少ない
特徴的な論文
この論文の結論
- 運動は運動耐性、筋力、活動レベル、および生活の質が向上する
- 短期的には安全
- 長期的な効果と影響の評価はできてない
- 下肢筋トレが有効
- 少なくとも2か月間、少なくとも週に2回の実施必要
- 運動後の体の変化について更なる研究が必要
感想
運動の評価方法はまだ決まった方法がなく、長期的な影響の評価が十分ではない印象を持ちました。
生活面で言えば、体力づくりや、転倒などの怪我の予防の観点で、運動をした方が良いと思います。しかし、心配なのは長期的な観点での悪影響です。どこまでなら安全なのか、あるいはバランスをとることを考えるべきなのか知りたいと思います。
この論文以前には、そのあたりの研究は進んでいなかった様です。どう評価するのかという包括的な研究デザインの提案もなさそうです。研究のやり方も含めて考えていく必要があると感じました。
文献情報
Heart, Lung and Circulationはオーストラリアとニュージーランドの心臓および胸部外科医協会と心臓学会発行です。循環器と心臓外科の分野での臨床と研究についての雑誌です。
Impact Factorは2.194です。