新型コロナウイルスワクチンの優先順位と先天性心疾患

先天性心疾患患者が新型コロナウイルスのワクチンを受けるべきなのか、いつ受けるのかなどどのようになっているのか気になります。

ワクチンの優先順位はそれぞれの重症化リスクと関連があると思います。

 

2021年1月上旬の日米英の状況を調べてみました。

 

まとめ

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ワクチンの優先順位の状況
  • 16歳以下の子供は基礎疾患があっても優先順位は高くない
  • ダウン症の重症化リスクが高いことが考慮されている
  • 無脾症のリスクが記述されている(英)
  • 先天性心疾患の細かい分類ごとのリスクは書かれていない・心不全と記載(米、英)

日本

ハイリスク者(先天性心疾患関連)

厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会)|厚生労働省

第43回(2020年12月25日)にて、各学会からの意見を公開

日本小児科学会の見解として

小児に対する新型コロナウイルスワクチンの有効性、安全性に関するエビデンスがないため、小児への接種は慎重に検討すべき=すぐには接種しない??

先天性心疾患で優先すべき症状

  • 症状(チアノーゼ、心不全)がある、または治療ないし運動制限を受けている
  • 不整脈、肺高血圧がある、または治療ないし運動制限を受けている
  • 半年以内に心臓手術を予定している、または過去3か月以内に心臓手術を受けた
  • 複雑型先天性心疾患(心内修復術前)ないしフォンタン手術後
  • 染色体異常、先天異常症候群、全身合併症がある

となっています。

 

アメリカ CDC

When Vaccine is Limited, Who Gets Vaccinated First? | CDC

ワクチン接種の順序

1a:医療従事者と介護施設の居住者

1b:最前線のエッセンシャルワーカー(消防士、警察、青果店員、教育など)と75歳以上の人々

1c:65〜74歳の人々、および基礎疾患のある16〜64歳の人々と以下の労働者(交通、運輸、飲食、住宅建設、通信、エネルギー、法律等)

 

となっており、16歳未満の人は基礎疾患があっても最優先すべきとはされてないようです。

ハイリスク者

ハイリスクの基礎疾患にダウン症が追加されました(2020 12 23)。

心臓病としては

  • 心不全
  • 冠動脈疾患
  • 心筋症
  • 肺高血圧症

がハイリスクとして例示されています。

Certain Medical Conditions and Risk for Severe COVID-19 Illness | CDC

 

イギリス (予防接種に関する合同委員会 JCVI)

Joint Committee on Vaccination and Immunisation: advice on priority groups for COVID-19 vaccination, 30 December 2020 - GOV.UK

 

ワクチン接種順序リスト

  1. 高齢者とその介護者のためのケアホームの居住者
  2. 80歳以上のすべての人々と最前線の医療および社会福祉従事者
  3. 75歳以上のすべての人
  4. 70歳以上のすべての人および臨床的に非常に脆弱な個人[脚注1]
  5. 65歳以上のすべての人
  6. 16歳[脚注2]から64歳までのすべての個人で、深刻な病気や死亡のリスクが高い根本的な健康状態にある人

  以下省略

16歳未満の子供

  • 予防接種のデータがない
  • 住宅でのケアを必要とする重度の神経障害のある年長の子供など、曝露のリスクが非常に高く深刻な結果をもたらす子供だけに、ファイザー-BioNTechまたはアストラゼネカワクチンのいずれかによるワクチン接種を提供すべきであるとアドバイス

基礎となる健康状態のある人

  • 基礎となる健康状態のない人と比較した場合、基礎となる健康状態のある人の絶対的なリスク増加は、65歳以上の人のリスク増加よりも一般的に低い
  • 65歳以上の人々にワクチン接種を提供し、続いて16歳以上の臨床リスクグループの人々にワクチン接種を提供することを推奨

ハイリスク者には以下を含む

  • 慢性心臓病(および血管疾患)
  • 慢性腎臓病
  • 慢性肝疾患
  • ダウン症候群
  • 無脾症および脾臓機能障害

など

感想

ワクチンの優先順位という観点では、あまり細かく分類する必要もないのか、先天性心疾患の中での細かい順位付けはないようです。

現状では子供のリスクは低めということのようです。

脾臓のリスクについては、今回初めて知りました。