30年間のノーウッド手術後の死亡率の低下

先天性心疾患に関するこれまでの医療の進歩に興味があります。

ノーウッド手術後救命率の変化についての論文をよみました。

論文情報

Decreasing Interstage Mortality After the Norwood Procedure: A 30‐Year Experience
Michelle Kaplinski他著

Journal of the American Heart Association. 2020;9

リンク

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.120.016889

 

まとめ

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ノーウッド後死亡率の時代ごとの変化と要因

ノーウッド手術とは?(論文外の情報です)

  • 左心低形成患者に行う手術
  • 心室からでた血液を体循環に流すようにする。肺に流れる血液は鎖骨下動脈と肺動脈を人工血管つないで流すようにする。(BTシャント)
  • これを、右心室から肺に流す人工血管を通すのが佐野手術(RV-PAシャント)。
  • その後、第二段階は上大静脈肺接続、第三段階がフォンタン。

 

報告内容

 現在でも左心低形成症候群の患者はノーウッド手術退院から上大静脈肺接続までの間のリスクが高いまま。

過去の時代ごとの状況の変化を調べた。

 

対象者

ノーウッド手術を受け、退院し、1988年1月1日から2017年12月31日までの間に上大静脈肺接続(グレン手術?)の対象となった左心低形成症候群の患者

 アメリカの1病院の結果です。

 

4つの時代に分けて分析

  • 時代1(1988–1994、上大静脈肺接続(SCPC)の最初の使用)
  • 時代2(1995–2001、外科チームの変化)
  • 時代3(2002– 2010年、右心室肺動脈接続(RV-PAシャント)の導入)
  • 時代4(2011年から2017年、モニタリングプログラム(ISMP)の導入)

モニタリングプログラムの詳細についてはあまり書かれていません。

 現在、RV-PAシャントの選択率は50%

感想

 本論文に書かれているのは、ノーウッド手術後に退院してから、上大静脈肺接続(グレン手術)までの100日強の間の事です。

色々な治療の試みがなされていますが、それぞれについて、評価結果が割れているようです。

少しずつでも、治療が進歩していることがわかると、希望が持てます。