ミシガン大学 先天性心疾患患者のコロナウイルスガイダンス更新(2020年7月23日)

4月にミシガン大学コロナウイルスガイダンスを読みましたが、先日更新されました。

リンク Coronavirus Guidance for CHD Patients v2

約4か月の変化を見てみたいと思います。

 

こちらは前回のまとめのリンクです。

lemondh.hatenablog.jp

 

全体的に

3月

COVID-19が先天性心疾患患者に与える影響について、ほとんど知られていない

7月

COVID-19が先天性心疾患患者に与える影響について、私たちはちょうど学び始めたところ

 

と変化しています。色々なことがわかり始めたということだと思います。

 

リスクが高い人

  • 肺高血圧症またはアイゼンメンゲル症候群
  • 免疫不全に関連する遺伝的症候群の患者(21トリソミー,ディジョージ症候群など)
  • 慢性的に衰弱した人(長期介護施設の患者など)
  • 移植患者
  • 心室(左心低形成 三尖弁閉鎖などを含む)
  • 酸素飽和度85%未満 修復していない人
  • 他の慢性疾患がある人(肺疾患、腎臓病)
  • 心機能を改善するために薬物療法をしている人

 

「生後12か月未満」がなくなり、「慢性的に衰弱した人」が追加になっています。

 

「先天性心疾患が修復され、機能状態が良好な多くの患者は、他の人と同様の注意をしておくことでよい」との記述は変わっていません。

 

病院の状況

3月

 「外来は、緊急の対面評価を必要とする患者のため(だけ)に開いて」いました

7月

 「定期的並びに、緊急の訪問のために完全に開いています」

と変化しています。少し余裕が出てきたのだと思われます。

また、ビデオ診療の能力を高めたそうです。

 

薬について

変更点

ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの注意喚起の追加

 「現在のところ、COVID-19感染を防ぐためにこれらの薬剤を使用することはお勧めできません。リスクがメリットを上回るように思われるためです」となっています。

 

変わらない点

 ACE阻害剤、アスピリンについては、「現時点では服用を続けることを推奨」というのは変わっていません。

 

多臓器炎症症候群(MIS-C)の注意喚起追加

  • 先天性心疾患がMIS-Cのリスクを増加させたという証拠はないが、心機能が低下した患者がより深刻な影響を受ける可能性があることを懸念
  • MIS-Cの疑いがある場合は、心臓専門医に連絡してください

との記述が追加になりました。


学校への出席

  • 秋の学校の見通しは現時点では不明
  • 患者の大部分が学校が再開したときに学校に戻ることができると感じています
  • 非常にリスクの高い患者(特に肺高血圧症)は、可能であれば遠隔通学の検討が必要

前回は全学校が閉鎖される状況でしたが、「新学期からは多くが通学可能」と変化しています。

 

仕事

3月

 すべての個人は現在、可能であれば自宅で仕事をするようにお勧め

7月

 可能であれば、高リスク患者は在宅勤務継続をお勧め

  患者ごとに検討するので、連絡するようにと書かれています。

旅行

3月

「必須でない旅行は全て勧めない」

7月

「必須でない飛行機の移動は勧めない、地域の状況によって判断する必要あり」

と変化しました。

 

その他

CDCなどのガイドラインへのリンクが張られています。

マスクの記述が変化していました。

 

感想

4か月間で様々な研究、社会情勢の変化、医療の準備などが進んだ結果、指示内容が変化していることがわかりました。

一方で、肺高血圧や、単心室の人のリスク認識は変わっていません。

ホームページの情報が更新されないところもあるように思いますが、変化を見続けて新しく正しい情報を得ていきたいと思っています。