フォンタンのコロナ感染者 イタリアのデータ

先天性心疾患者がコロナウイルスにかかったらどうなるのか気になります。フォンタン者でコロナウイルスに感染した人の症例報告がありました。イタリアの事例です。

論文情報

Coronavirus disease 2019 in patients with Fontan circulation
FlaviaFusco他著

 

International Journal of Cardiology Congenital Heart Disease Volume 3, May 2021

 

リンク

Coronavirus disease 2019 in patients with Fontan circulation - ScienceDirect

まとめ

 

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フォンタン者のコロナ感染者の状況(イタリア)
  • 2021年3月14日までに感染したフォンタン者
  • モナルディ病院のフォンタン者(63人)のうち7人が感染(平均28歳)が感染
  • 全員回復済
  • 重傷者はいなかった

重傷者がいない予想される原因

  • 若い
  • 自己隔離で感染しないように気を付けている
  • 普段から抗凝固療法を受けているので逆に血栓ができにくい

コロナ感染で考えられる悪影響

  • 肺血管抵抗の上昇
  • 不整脈(炎症による)
  • 血栓
  • 心筋障害
  • 脱水
  • 肝障害の誘発
  • 元々SpO2が低いことなどによる誤治療

感想

63人中7人が感染しているので、感染率は多く感じました。

フォンタン者なら即ハイリスクというわけではなさそうです。

少し安心材料にはなりますね。

しかし、ウイルスが変わっていく中で、今後も同様かはわかりません。

感染リスクを上げないようにすることが基本だと思います。

 

先天性心疾患児の閉塞性睡眠時無呼吸と神経認知障害は関係がある

睡眠の質が良くない気がしています。

先天性心疾患の閉塞性睡眠時無呼吸と神経認知障害の関係についてのアリゾナ大学グループの論文がありました。先天性心疾患者、かつ閉塞性睡眠時無呼吸患者は、IQが低い傾向があると書かれています。

論文情報

OSA and Neurocognitive Impairment in Children With Congenital Heart Disease

Daniel Combs 他著

CHEST Journal  Volume 158, ISSUE 3, P1208-1217, September 01, 2020

リンク

https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(20)30536-5/fulltext

 

まとめ

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閉塞性睡眠時無呼吸の神経認知障害の問題
  • 閉塞性睡眠時無呼吸がある人のほうがIQが低い傾向
  • 実行機能は違いがなかった
  • 先天性心疾患者の閉塞性睡眠時無呼吸の有病率は一般よりも高い傾向だが、子供の睡眠を心配している親の方が、研究に参加する割合が高い可能性もある

感想

先天性心疾患者は呼吸が止まるだけで影響大だと思います。

さらに、睡眠時無呼吸と神経発達の問題に関連性があることは知りませんでした。

睡眠時無呼吸の治療によって、改善する可能性があるとのことなので、気になるときには調べてみるとよいと思いました。

雑誌情報

CHEST journalは1935年に設立された、胸部疾患に関する査読付き雑誌です。

インパクトファクタは9.657(2018)です。

 

先天性心疾患児の健康維持 イギリスGreat Ormond Street 小児病院

海外の先天性心疾患への支援について調べています。

イギリスにあるGreat Ormond Street 小児病院のページに親むけの先天性心疾患児の健康維持のための情報がありました。

 

情報元

Helping your child with congenital heart disease to stay healthy | Great Ormond Street Hospital

 

まとめ

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先天性心疾患の子を持つ親へのアドバイス

ポイント

  • 幸せを保ち友達を作る
  • 活動的でいる
  • 食事
  • 睡眠
  • 心臓の状態を理解して子供に教える
  • 成人医療への移行

 

感想

アメリカでもそうですが、イギリスにも先天性心疾患の子供が親と離れて参加するキャンプがあるようです。自立につなげたり、友達を作ったりできるとすればよいなあと思いました。

12歳ごろから18歳ごろまで、小児循環器医と成人先天性心疾患医が共同で管理する期間があるようです。

このような体制が明確になっていれば、安心して大人になれると思いました。

フォンタン者は血中の脂質異常が多い(アメリカの論文)

先天性心疾患者の長期的な体調変化について調べています。フォンタン者は血中の脂質異常が多いという論文がありました。

論文情報

Fontan‐Associated Dyslipidemia
Adam M. Lubert(Cincinnati Children's Hospital) 他著

Journal of the American Heart Association.  Vol 10, Issue 7 April 6,2021

リンク

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.120.019578

 

まとめ

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フォンタン患者と血中コレステロール

18歳以上(年齢中央値30.3歳)のフォンタン循環の外来患者164人と、81人の対照と比較

HDL-Cが低いと、死亡または入院のリスクが高かった

  (2.8年間の追跡中に56人が入院した)

 

感想

 フォンタン者にコレステロールが低いという傾向があるということなので、気になる結果です。

この原因がわかってくれば、体調悪化の指標として使えるようになるかもしれません。

新しい抗凝固薬の使われ方(ドイツの調査)

毎日お世話になっている薬の進化に興味があります。抗凝固薬は必要ですが、生活への影響も大きい薬だと思います。

ドイツでは、新しい抗凝固薬の利用割合が増えているという論文を読みました。

論文情報

Current use and safety of novel oral anticoagulants in adults with congenital heart disease: results of a nationwide analysis including more than 44 000 patients
Eva Freisinger他著

European Heart Journal, Volume 41, Issue 43, 14 November 2020, Pages 4168–4177

リンク

https://academic.oup.com/eurheartj/article/41/43/4168/5980364

 

まとめ

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新しい抗凝固薬(ドイツの傾向)
  • ビタミンK拮抗薬(旧来からある薬)と新規経口抗凝固薬の比較
  • 新抗凝固薬は先天性心疾患者については十分分析が出来ていない。
  • 使いやすいためによく使われるようになってきている。
  •  成人先天性心疾患者の12.8%が抗凝固薬を使っている(ドイツ)

感想

ドイツでの調査では、約半数が新しい抗凝固薬を使っているということで、驚きました。ワーファリンのように頻繁に検査をしなくてよいということ等、利便性が上がっている薬の様です。納豆等食事への影響もなくなるなら、うれしいかもしれません。(ドイツ人で納豆を食べる人はおそらく少ないと思いますが.....)

個人的には、今すぐに切り替えたいとは思いません。結局、90日分しか処方されないので、病院に行く頻度は変わりませんし、検査をして処方をするということは変わらないと思います。将来的には、このような薬を使うようになるのかもしれません。

先天性心疾患者が競技スポーツをやりたくなったときのためのガイドライン

先天性心疾患者の運動について興味があります。European Heart Journalの先天性心疾患特集の中で、先天性心疾患者の競技スポーツへの参加についての論文がありました。

論文情報

Recommendations for participation in competitive sport in adolescent and adult athletes with Congenital Heart Disease (CHD): position statement of the Sports Cardiology & Exercise Section of the European Association of Preventive Cardiology (EAPC), the European Society of Cardiology (ESC) Working Group on Adult Congenital Heart Disease and the Sports Cardiology, Physical Activity and Prevention Working Group of the Association for European Paediatric and Congenital Cardiology (AEPC)

Werner Budts他著

European Heart Journal, Volume 41, Issue 43, 14 November 2020

 

リンク

Recommendations for participation in competitive sport in adolescent and adult athletes with Congenital Heart Disease (CHD)

 

まとめ

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先天性心疾患者の競技スポーツ参加の条件

16歳以上の先天性心疾患者に向けた文書

先天性心疾患者の運動の利点は十分に確立されている。

しかし、運動合併症のリスクは低いが、かなりのリスクがある

この論文で競技スポーツ実施時の判断手順を示す。

 

感想

 先天性心疾患者が競技スポーツをやるためのガイドラインが出ていることに驚きました。これまで見た中では、身体活動は推奨されている場合が多いですが、「競技はやめなさい」となっていることが多かったからです。

先天性心疾患者のやりたいことを安全に実施するための目安は大事だと思います。個々人に応じて、本来できることを禁止することはよくないですし、無理をして、命を縮めては意味がありません。

これまで一律に○○はダメとされていたことが、個人個人の状態をきちんと分析して可能不可能を判断するようになってきているなら、とても良い事です。

色々な分野、色々な形で、人々が良く生活していく仕組みが整ってきているということがわかりました。

 

細かい数値については、記載していません。原著をご覧ください。

 

先天性心疾患者は脚の痛みを訴える傾向がある(イギリスの論文)

脚が痛いとよく訴える気がしています。先天性心疾患者へアンケートした結果、兄弟よりも脚の痛みを訴える傾向があるという論文がありました。原因はまだ特定されていないようです。

論文情報

Leg Pains in Congenital Heart Disease – A Distressing Symptom of a Wider Problem

Suzie Hutchinson他著

Cardiology in the Young 24 July 2018

リンク

Leg pains in CHD: a distressing symptom of a wider problem

 

まとめ

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下肢の痛みについてのアンケート結果

合計220人の回答者

  • 時間帯 夜
  • 場所 膝、すね、筋肉を含む下肢
  • 対処法 鎮痛剤、マッサージ、休息

痛みを感じる人の割合が高い条件

回答者の93.6%が足が痛むと回答 兄弟は29.9%

原因不明

痛みを感じている人の方がアンケートに協力する可能性がある点に注意

 

感想

足の痛みはよく訴えてきます。

運動をする人の方が良く訴えてくるというのは意外でした。

素人考えでは、むしろ血行が良くなって、緩和されそうにも思っていました。

対処法は、アンケートに答えた人がやっている方法で、医学的に適切な方法かどうかはわかりません。

鎮痛剤を使わないといけないほどの痛みとすれば、大変な痛みなのだと思います。

これが何か良くない結果につながるサインかどうかはわかりませんが、痛みが強いと日常生活にも支障が出てきてしまいます。

さらに症状の研究が進んで、適切な対処法が確立されてほしいです。