fontanと脂肪肝 アメリカ(Cincinnati Children's Hospital)の論文
先天性心疾患の長期的な変化を調べています。
フォンタン者と脂肪肝についてのCincinnati Children's Hospitalの論文がありました。
論文情報
Hepatic Steatosis in Patients With Single Ventricle and a Fontan Circulation
David A. Katz他著
Journal of the American Heart Association.
Vol 10, Issue 9 (May 4, 2021)
リンク
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.120.019942
まとめ
感想
脂肪肝の要因は一般の人と変わらないということで、フォンタンのリスクについて明らかにされていません。
ただし、研究結果に、脂肪肝になった被験者が少ないということや、年齢が若いことの影響はありそうです。
心臓外導管フォンタンの合併症 福岡の論文
心外導管フォンタンの長期リスクについて、福岡市立こども病院と九大病院からの報告論文がありました。2015年の報告のまとめを以前やりました。そのリンクも張っています。
論文情報
The complication of Fontan procedure using extracardiac conduit
Yoshihiko Kodama(Fukuoka Children's Hospital)他著
International Journal of Cardiology Congenital Heart Disease Volume 4 (2021)
リンク
The complication of Fontan procedure using extracardiac conduit
まとめ
心外導管法の患者の調査が目的
フォンタン手術を受けた全患者について、遡及的カルテレビューを実施
平均観測期間は9.0±6.1年
通常、小児期は福岡市立こども病院で管理され、青年期に九州大学の成人先天性心疾患部に転院する
2015年の論文のまとめ
福岡市立こども病院から2015年にも論文が出ています。以下でまとめています。
感想
徐脈性不整脈とフォンタン不全の関係があるということを知りました。
また開窓と徐脈性不整脈の関係も気になります。
2015年の報告に比べると、死亡者割合は変わっていないようです。
おそらく、今回の報告の対象者に2015年の報告の対象者も含まれていると思います
フォンタンのコロナ感染者 イタリアのデータ
先天性心疾患者がコロナウイルスにかかったらどうなるのか気になります。フォンタン者でコロナウイルスに感染した人の症例報告がありました。イタリアの事例です。
論文情報
Coronavirus disease 2019 in patients with Fontan circulation
FlaviaFusco他著
International Journal of Cardiology Congenital Heart Disease Volume 3, May 2021
リンク
Coronavirus disease 2019 in patients with Fontan circulation - ScienceDirect
まとめ
- 2021年3月14日までに感染したフォンタン者
- モナルディ病院のフォンタン者(63人)のうち7人が感染(平均28歳)が感染
- 全員回復済
- 重傷者はいなかった
重傷者がいない予想される原因
- 若い
- 自己隔離で感染しないように気を付けている
- 普段から抗凝固療法を受けているので逆に血栓ができにくい
コロナ感染で考えられる悪影響
感想
63人中7人が感染しているので、感染率は多く感じました。
フォンタン者なら即ハイリスクというわけではなさそうです。
少し安心材料にはなりますね。
しかし、ウイルスが変わっていく中で、今後も同様かはわかりません。
感染リスクを上げないようにすることが基本だと思います。
先天性心疾患児の閉塞性睡眠時無呼吸と神経認知障害は関係がある
睡眠の質が良くない気がしています。
先天性心疾患の閉塞性睡眠時無呼吸と神経認知障害の関係についてのアリゾナ大学グループの論文がありました。先天性心疾患者、かつ閉塞性睡眠時無呼吸患者は、IQが低い傾向があると書かれています。
論文情報
OSA and Neurocognitive Impairment in Children With Congenital Heart Disease
Daniel Combs 他著
CHEST Journal Volume 158, ISSUE 3, P1208-1217, September 01, 2020
リンク
https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(20)30536-5/fulltext
まとめ
- 閉塞性睡眠時無呼吸がある人のほうがIQが低い傾向
- 実行機能は違いがなかった
- 先天性心疾患者の閉塞性睡眠時無呼吸の有病率は一般よりも高い傾向だが、子供の睡眠を心配している親の方が、研究に参加する割合が高い可能性もある
感想
先天性心疾患者は呼吸が止まるだけで影響大だと思います。
さらに、睡眠時無呼吸と神経発達の問題に関連性があることは知りませんでした。
睡眠時無呼吸の治療によって、改善する可能性があるとのことなので、気になるときには調べてみるとよいと思いました。
雑誌情報
CHEST journalは1935年に設立された、胸部疾患に関する査読付き雑誌です。
インパクトファクタは9.657(2018)です。
先天性心疾患児の健康維持 イギリスGreat Ormond Street 小児病院
海外の先天性心疾患への支援について調べています。
イギリスにあるGreat Ormond Street 小児病院のページに親むけの先天性心疾患児の健康維持のための情報がありました。
情報元
Helping your child with congenital heart disease to stay healthy | Great Ormond Street Hospital
まとめ
ポイント
- 歯
- 幸せを保ち友達を作る
- 活動的でいる
- 食事
- 睡眠
- 心臓の状態を理解して子供に教える
- 成人医療への移行
感想
アメリカでもそうですが、イギリスにも先天性心疾患の子供が親と離れて参加するキャンプがあるようです。自立につなげたり、友達を作ったりできるとすればよいなあと思いました。
12歳ごろから18歳ごろまで、小児循環器医と成人先天性心疾患医が共同で管理する期間があるようです。
このような体制が明確になっていれば、安心して大人になれると思いました。
フォンタン者は血中の脂質異常が多い(アメリカの論文)
先天性心疾患者の長期的な体調変化について調べています。フォンタン者は血中の脂質異常が多いという論文がありました。
論文情報
Fontan‐Associated Dyslipidemia
Adam M. Lubert(Cincinnati Children's Hospital) 他著
Journal of the American Heart Association. Vol 10, Issue 7 April 6,2021
リンク
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.120.019578
まとめ
18歳以上(年齢中央値30.3歳)のフォンタン循環の外来患者164人と、81人の対照と比較
HDL-Cが低いと、死亡または入院のリスクが高かった
(2.8年間の追跡中に56人が入院した)
感想
フォンタン者にコレステロールが低いという傾向があるということなので、気になる結果です。
この原因がわかってくれば、体調悪化の指標として使えるようになるかもしれません。
新しい抗凝固薬の使われ方(ドイツの調査)
毎日お世話になっている薬の進化に興味があります。抗凝固薬は必要ですが、生活への影響も大きい薬だと思います。
ドイツでは、新しい抗凝固薬の利用割合が増えているという論文を読みました。
論文情報
Current use and safety of novel oral anticoagulants in adults with congenital heart disease: results of a nationwide analysis including more than 44 000 patients
Eva Freisinger他著
European Heart Journal, Volume 41, Issue 43, 14 November 2020, Pages 4168–4177
リンク
https://academic.oup.com/eurheartj/article/41/43/4168/5980364
まとめ
- ビタミンK拮抗薬(旧来からある薬)と新規経口抗凝固薬の比較
- 新抗凝固薬は先天性心疾患者については十分分析が出来ていない。
- 使いやすいためによく使われるようになってきている。
- 成人先天性心疾患者の12.8%が抗凝固薬を使っている(ドイツ)
感想
ドイツでの調査では、約半数が新しい抗凝固薬を使っているということで、驚きました。ワーファリンのように頻繁に検査をしなくてよいということ等、利便性が上がっている薬の様です。納豆等食事への影響もなくなるなら、うれしいかもしれません。(ドイツ人で納豆を食べる人はおそらく少ないと思いますが.....)
個人的には、今すぐに切り替えたいとは思いません。結局、90日分しか処方されないので、病院に行く頻度は変わりませんし、検査をして処方をするということは変わらないと思います。将来的には、このような薬を使うようになるのかもしれません。